つぶやき

新型コロナウイルス

投稿日:2020年3月9日 更新日:

新型コロナウイルスによる生活への影響が大きくなっていますね。

1月末ごろから品薄になったマスクと除菌用アルコールに続き、2月末ごろからはトイレットペーパー、冷凍食品やカップラーメンなどの日持ちして簡単に食べられる食品、さらにはお米まで品薄になっています。

個人でできることは限られているので、それこそうがい手洗いとか、運よく買えればマスクをするとか、その程度の当たり前のことをやるしかないと考えていましたが、そうも言っていられない状況です。

この状況でトイレットペーパーの買い占めが起こること自体は馬鹿馬鹿しいことではありますが、実際に今日自らの尻を拭くためのトイレットペーパーがなければ、馬鹿馬鹿しいなどと冷笑している場合ではなく、探し回って買うしかありません。

 

さて、個人でできることは限られている、とわざわざ言ったのは、個人でできないこと、つまり行政ができること、すべきことはたくさん存在するという意味を含んでのことです。

その、できること、すべきことがたくさんある行政がしていることといえば、我々民間人に対しては、不要不急の外出や、イベントなど人の多く集まる催しへの参加、イベントの開催自体などを、自らの判断で自粛するように、などというひどく曖昧な要請と、そして実質的に行政からの直接的な影響を受ける学校に対しては、3月2日からの小学校、中学校、高校の一斉休校という極端に急(2月27日に発表し、3月2日までは3日間しか時間がないうえ、3日間のうち2日間は土日)な要請です。

ただの要請、あくまで要請、とはいえ、隣の家の住人からの要請であってもそう容易に断れるものではありません。

ましてや、国や自治体からの要請ともなれば、まず従わざるを得ないでしょう。

特に、国や自治体からの学校に対しての要請は、事実上の命令にほかならないとすらいえます。

従わないことで「あいつは国からの要請に従わないやつだ」なんてお怒りになる方もいらっしゃいますし、そんなものも従わざるを得なくさせる強い力です。

 

各個人が自らの判断で外出や催しを控えたとして、それによって被る不利益は、それぞれで負うしかありません。

社会的な責任(とても曖昧な概念かつ、本当にそんなものを個人や中小企業が負わなければならないのかわかりませんが)を考えればイベントを中止すべきなのかもしれませんが、イベントの主催者は生活がかかっています。

イベントを中止にして、生活が成り立つだけの余裕のある人や会社はいいでしょうが、そのイベントの収入を頼りに生活をしている人は、生活することができません。

 

小中学校、高校の一斉休校にしても同じです。

根拠や優先度についての疑問はあるものの、子供への感染、また子供を介した感染を防ぐ目的から、休校措置をすること自体は理解できます。

しかし、感染の状況が深刻であることは、1月末にはわかっていたので、3月2日まで本来1か月間の準備期間があったはずです。

休みになる生徒の親は仕事をしていますから、2月27日木曜日に、週明け3月2日月曜日から子供が1か月間休みになると言われても、まさに「どうしたらいいの?」でしょう。

また、学校で働く人、非常勤講師は授業がなければ収入がなくなりますし、学校給食の材料納入業者などは仕事がなくなるのに加え、週明けの納品予定のものはすでに仕入れてしまっているために損失も出るでしょう。

 

ここは釣りブログなので、大きな釣りイベントであるフィッシングショー、特に物販色の強いキープキャストを具体例に考えましょう。

キープキャストの参加者が自らの判断で参加を控えるのは、キープキャストに参加することで得られる楽しみ、例えば新しい釣り道具に触ったり、好きなプロと交流したり、限定販売ルアーを購入したりを我慢すればいいだけです。

しかし、キープキャストの主催者や出展企業が自らの判断でイベントの中止を決めたら、開催や準備にかけた費用の回収ができません。

まずキープキャストの主催者の場合です。

キープキャストの主催者は、出展企業から出展料を、そして参加者から入場料をとり、会場を借りる費用や、開催の準備にかけた費用にあてます。

しかし、開催されなければ、準備にかけた費用が回収できません。

さらに、直前の中止決定となれば、一円も回収できていないにもかかわらず、会場であるポートメッセなごやのキャンセル料まで支払わなければならないでしょう。

次に出展企業、特にキープキャスト会場でキープキャスト限定ルアーなど物販に力を入れている企業の場合です。

キープキャストといえば、たくさんのファンが訪れ、開場前から長蛇の列、開場とともにダッシュで企業ブースに向かって限定ルアーを買うことで有名なイベントです。

たくさん売れる見込みがあるわけですから、利益を出すためにたくさん作るでしょう。

いやらしい話かもしれませんが、釣具店への卸ではなく消費者への直販ですので、利益率の高さも大きな魅力です。

キープキャスト会場で販売するために、すでに仕入れは済んでいるわけですから、仕入れたルアーの代金を支払う必要があります。

3月14日,15日の開催日程だったことを考えれば、どんなに遅くても2月には仕入れが終わっているでしょうから、支払い条件が月末締め翌月末振込だと仮定すると、3月末に支払う必要があります。

会場での現金決済で、即時的な現金収入があれば、滞りなく仕入れたルアーの代金を支払えます。

しかし、キープキャストが開催されず、現金収入がなければ、ルアー代金の支払いができず、資金繰りがショートし、最悪の場合倒産してしまうかもしれません。

ショーで販売できなかったものを通信販売で売るにしても、一般的にメーカーは自社で直販をしていませんので、通販のシステムを作るところから始めることになり、時間も費用もかかります。

よしんば通販サイトをすでに持っていたとして、自社の口座に直接振り込んでもらわなくては、自由に使える現金になるまでに時間がかかります。

自社で販売するのではなく、卸すという手もあるでしょうが、これもおそらく即時的な支払いがされるものではないでしょうし、また、すでに書いたように直販とは比べるべくもないくらい利益が小さくなります。

中止を決定したイベントはキープキャストだけではありませんので、他のイベントで販売することもできませんし、2月22日のキープキャスト中止決定から3月末までのたった一か月半の間に、当初の予定通りに現金化することは難しいでしょう。

 

あくまで要請のカタチをとるというのは、行政の立場からすればある種当然です。

適正なプロセスを踏まえずにこのような命令をすることは、経済的自由権の侵害にあたり、憲法違反だからです。

行政なんていつも(現政権は特に際立って)国民の権利をないがしろにしているだろうと思っているので、こんなときだけそれを盾にするのは都合がいいよな、としか思えませんが、建前上は理解できます。

しかし、国民が行政の立場や建前を考える必要などありません。

上にも書いたとおり、大きな力を持つものからの要請は、事実上の命令です。

要請をする以上は、その要請に応えたものに対しての補償が必要です。

だからこそ、その根拠や、根拠に基づく議論が必要なのであって、ろくな根拠も議論もなく「ただの”要請”にすぎないので、自らの責任で決定し、実行せよ」というのは責任逃れでしかなく、無責任かつ卑劣きわまりないと言わざるを得ません。

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