ダイワが世界初のマグネットブレーキ搭載リールであるファントム マグサーボを発売したのが1982年。
2022年の今年、マグネットブレーキは40周年を迎えます。
マグネットブレーキの歴史には諸説あり、ダイワ以前にもアメリカのメーカーが販売していたという話もあるのですが(今や資料がないため不確かな記憶です)、一応ダイワが最初というのがダイワ公式の見解です。
特許を調べても見当たらず、すでに販売されていることにも気付かなかった可能性もあると思います。
「最初」であることはもちろん大事ですしすごいことなのですが、もっとすごいのは、1982年の登場から2022年の現在に至るまでインダクトローター式を採用していることだと思います。
インダクトローターを磁石で挟み込み、磁石の位相でブレーキ力の強弱を調整するのは、もちろん特許技術だったと思いますし、40年経った現在でも独特です。
インダクトローター式へのこだわりは、これが最高だからなのか、続けてきた意地なのかわかりませんが、インダクトローター式はブレーキ力の調整がしやすく、また調整の幅が広い=使いやすいのは確かな事実です。
この記事内で特に言いたいことではありませんが、FTBで懲りた人もいるでしょう。
ダイワのインダクトローター式マグネットブレーキは、固定式のマグフォース(当時の国内向けはマグサーボ)から始まり、遠心力を利用した可変式のマグフォースV(1997年)及びマグフォースZ(2006年)、慣性(に加えて渦電流によるブレーキ力?)を利用した可変式のエアブレーキ(2012年)、それらの可変を二段階にしたマグZブースト(2021年)とSVブースト(2021年。発売は2020年12月)と進化してきました。
進化とは言いましたが、今なお固定式は存在しますし、唯一なくなってしまったマグフォースVもブレーキ機構としてはマグフォースZと同一です。
つまり、それぞれのブレーキ方式にそれぞれのメリットがあり、リールの使いみち(=キャラクター)によって使い分けているわけです。
使いやすさ以外の大きなメリットとして互換性の高さがあります。
インダクトローターの材質、厚さ、飛び出し量、可変式の場合には固定方法やばねの強さなど、スプール互換性に影響のない範囲でブレーキの味付けを変えているため、異なる糸巻量、異なるブレーキのスプールを装着することができ、リール本体はそのままに、リールのキャラクターを変えることができるのです。
例えば霞ケ浦に行くときには浅溝のエアブレーキ(SV)のスプールを、琵琶湖に行くときには深溝のマグフォースZのスプールを使うなどすることで、一台のリールを様々な場面で使うことができます。
特に直径34mmのスピードシャフト(現ゼロシャフト)モデルの互換性は圧巻で、極端なことをいえば、ブレーキに使用されている磁石自体の磁力が変わっていることから全く同じ性能とはいきませんが、2022年の最新のスプールが1999年のTD-Zでも使えてしまうほどです。
代わりがきかないネオグリッピングレフトのTD-Z 105(103)HLのような古いモデルの使用感を変えずに、キャスティング性能だけアップデートしたいという場合にも応えてくれます。
なんだかつらつらと書いてまいりましたが、このあたりで終わりにしたいと思います。
冒頭にも書いた通り今年はマグフォース40周年の年です。
以前の記事で取り上げた「インテリジェントマグフォース」を出すには絶好の年なわけですが、残念ながら現時点では姿を見せていません。
40年目の革新がDC的なものというのも、ちょっとなんともな気はしますが、まあそれはそれでしょう。