この世のほとんどの人にはどうでもいいことだと思うんですけど、黒目が下向きになったアイシール(ルアー全体の造形も含む)や絵が嫌いです。
黒目下向きのアイシールってメガバスが始めたんですかね。
メガバスは非円形の(少し三角っぽい)黒目の走りだった気もするし、だとすると、良否はともかくすごいですね。
黒目下向きのアイシールは今やかなりたくさんのルアーが採用しているように感じます。
デュオあたりは極端にそれを感じさせるデザインで、黒目が下向きというか、もはやシール形状そのものが丸くありませんし。
シール貼る方向に気を遣わなくてよさそうではありますけどね。
絵なんかでも結構その傾向がみられる気がしていて、ロドリ世代に人気のトキシンさんなんかも結構黒目下向きの絵を描いている印象ですし、NAMIKOさんなんかは典型的ですね。
で、黒目が下向きであることの何が嫌かって、生きて泳いでる魚は、通常は黒目が下向きじゃないからです。(実際には黒目がどうこうというか、眼球の向きなんですが)
餌が底のほうにいるとか、何か興味の対象となるものが自分より下にあって、かつ体を動かしたくない、動かしづらい、そういう特別な状況(や魚種)ではありえると思います。
でも普通の魚で普通の状態では、下のほうを見るときには体ごと前傾させて正面に見ることが多いと思いますよ。
眼球を前後にはそこそこ動かしてますけど、上下にはあんまりって印象です。
じゃあどんなときに黒目が下向きになるかというと、陸に揚げられたときなんですよね。
つまり、釣られたときです。(ちなみに死ぬとまた黒目は中央付近になります)
意識して見てもらうとわかると思います。
あと、アロワナなんかに顕著ですけど、飼育環境によってそうなることもあります。
ルアーって基本的には餌を模していますよね。
疑似餌ですし。
で、シールアイを貼ってあるようなものは、なぜシールアイを貼っているのかと言えば、小魚を模しているからでしょう。
じゃあその模している小魚っていうのは、どんな魚でしょうか。
もちろん生きて泳いでいる魚ですよね。
無防備にのんびりと泳いでいるのか、逃げるために必死に泳いでいるのかとか、そういう違いはあったとしてもです。
まさか、誰かに釣り上げられて陸上で横たわっている魚じゃないでしょうし、ペットの熱帯魚じゃないでしょう。
そう考えたときに、黒目が下向きなのは違和感があって嫌なんです。
魚はルアーを小魚だと思っていないとか、そういう話は今どうでもいいんで置いておきますね。
今はデザインの思想の話をしてるんで。
魚がルアーを小魚だと思っているかどうかと、ルアーを作る側が釣る対象の魚や消費者に対して小魚だと思わせたいかどうかはまったく別の議論ですから。
絵についても同じです。
釣り上げた魚の絵なのであれば、黒目が下向きでもちろんいいと思います。
それは、そういう絵なんですから。
そうではなく、水中を泳いでいる(であろう)魚の絵や、何の脈絡もなくただ魚だけが描かれた(およそ、黒目が下を向く理由を読み取ることができない)絵で、黒目が下を向いていたら、違和感があって嫌って話です。
例えばですけど、椅子に座って、手には開かれた本を持つ人が描かれた絵があるとしましょうよ。
その目線が本に向いているならば、それは本を読む人の絵ですよね。
次に、その目線がこちらを向いているならば、それはきっと、本を読んでいて声をかけられた人の絵だと感じるでしょう。
では、まぶたを閉じていたらどうでしょうか。
きっと本を読みながら居眠りしてしまった人の絵だと感じるでしょう。
目線がどこにあるのかで、その絵の意味は大きく変わります。
ヒトの絵を例にしましたが、これは他の動物でも一緒ですし、魚だって一緒です。
すでに書いたとおり、生きて水中にいる魚の黒目は、ふつうは眼球の中央付近に位置していて、下向きになるのは、概して釣り上げられて水から出されているときです。
しかし、実際には、背景などの脈絡を想像できる要素なしに黒目が下向きに描かれていることがままあります。
そういう絵を見るにつけ、簡単に手に入る釣果写真かなんかを見て描いたんじゃないの?と感じてしまうんです。
生きて泳いでる魚になんて全然興味ないんじゃないの?って残念な気持ちになるんです。
これはさらに余談ですけど、非円形の三角っぽい黒目って一見リアル風ではありますけど、魚の黒目の多くは結構な円形なんですよ。
なので、僕は黒目が円形(か、非円形でも円形に近い)で、中央付近に位置するアイシールが好きです。
ダイワ(バスルアー。ソルトは結構強めの三角だったり下向きだったり)とかOSPはいいですね。
非円形のものも含めて落ち着きがあります。
中央付近に位置していなくても、寄り目はかわいくてキャラクターとして受け入れられるので好きですけど、でも寄り目ならシールよりペイントアイのほうが風情があって好きですね。
この世のほとんどの人にとってどうでもいいであろう話でした。